備前焼とは

備前焼とは

かまのそばが扱っているのは備前焼(びぜんやき)というやきもののうつわです。備前焼とはどのようなやきものなのか、作り方・見た目・使い方に注目してご紹介します。

釉薬を使わない焼き物

登り窯の煙突


最大の特色は焼成法(焼き方)です。一般的なうつわは釉薬(ゆうやく・うわぐすり)をかけて色合いやツヤなどを出しますが、備前焼は釉薬を使いません。いわゆる「素焼き」のやきものなのです。

形を作ったうつわは「登り窯(のぼりがま)」と呼ばれる大きな窯にぎっしりと詰められ、一週間以上の長い時間をかけて焼かれます。燃料には松の薪を使います。この焼き方によって、備前焼の特徴であるさまざまな表情が生まれます。

日本の伝統工芸品


備前焼は1982(昭和57)年に伝統工芸品に認定されました。成型方法・材料・見た目・生産地が具体的に指定されています。これらの基準を満たしたものを、伝統工芸品としての備前焼と呼びます。

備前焼の特徴

備前焼を作るためには材料・道具・技術のいずれもが重要です。伝統工芸品の指定にもとづいて、その特徴をご紹介します。

材料

ヒヨセ粘土は乾いた状態で保管します

備前焼は、岡山県備前市伊部付近で採られる鉄分の多い土を使って作られます。これを「ヒヨセ粘土」と呼びます。ヒヨセ粘土はおもに田んぼの下にある薄い粘土層で、場所によって含まれる成分が異なります。よい粘土を見つけることから作家の仕事が始まります。

うつわはヒヨセ粘土だけで作られることもありますが、多くの場合は備前市の隣にある瀬戸内市長船(おさふね)周辺で採られる「長船黒土」など、別の土を混ぜます。窯変は土の成分と反応してできます。混合率によって仕上がりが変わるため、作家それぞれが独自のノウハウをもっています。

備前焼の中には、成形したうつわに薄く塗り土をしたものもあります。これを「伊部手(いんべで)」と呼びます。伊部手にも「とも土」を使うことになっています。「作品を作ったのと同じ土」のことです。

参考:伊部手とは – コトバンク

成形

粘土をうつわに成形するためのろくろ

土が用意できたら次は成形です。土を洗ったり細かく砕いて水にさらしたりしたあと、手で練り上げて粘土状にします。粘土は以下の方法でうつわへと形づくられます。

  • ろくろ成形:ぐるぐる回る土台(ろくろ)の上で成形すること
  • たたら成形:板状にした粘土を切り貼りして成形すること
  • 押型成形:先に型を作っておき、そこに粘土を流し込んで成形すること
  • 手ひねり成形:粘土のかたまりから手で叩いたり伸ばしたりして成形すること

模様

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)

備前焼の特徴である、焼成による模様。写真の「火襷大壺(ひだすきたいこ)」は16〜17世紀の間に作られた、いわゆる「古備前(こびぜん)」です。火襷とは、窯で焼くときにうつわを包む藁などの跡がうつり、化学変化によって色が変わる現象です。このように焼くときに発生する模様や色のことを「窯変(ようへん)」といいます。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)

こちらは17世紀に作られた「反鉢(そりばち)」。焼成中に薪の灰がふりかかることによってできる「胡麻(ごま)」という模様ができています。この反鉢の胡麻は黄色がかっているので「黄胡麻(きごま)」と呼ばれます。

鉢の中にいくつもついている赤みがかった模様は「牡丹餅」と呼ばれます。上にお猪口や徳利などの丸いものを置いて作ります。上にものが置いてあると灰がつかないこと、炎が直接当たらないこと、温度もまわりと比べると少し低いことなど、いくつかの要因が重なって独特の色合いが生み出されます。

ほかにも「桟切(さんぎり)」、「伏せ焼」、「青備前」などの窯変があります。窯変によってできた表情のことを「景色」と呼びます。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)

焼成以外でできる模様としては、へらなどの道具でおこなう彫りや、上から粘土を貼りつける手法などがあります。

産地

備前焼の窯が集まる不老川沿い

現代の備前焼はさまざまなところで作られています。なかでも伝統工芸品に指定されている産地は、岡山県岡山市、備前市(旧和気郡吉永町を含む)、瀬戸内市邑久町・長船町(それぞれ旧邑久郡邑久町・長船町)です。

参考:備前焼(国指定伝統的工芸品) – 岡山県ホームページ(マーケティング推進室)

備前焼の魅力

焼け具合による個体差


備前焼の特徴である、焼成によるさまざまな景色。炎という制御しにくいものによって生まれる焼け具合は一点一点に異なった表情を与えます。大きな登り窯のどの場所に入れるのか、温度はどのくらいか、灰のかかり方は多いか少ないか……。

作家は経験やデータによって求めている仕上がりを追求しますが、いつも必ず同じような結果が返ってくるわけではありません。でもそれが備前焼のおもしろいところ。ひとつとして同じもののない個体差をお楽しみください。

硬くて丈夫

備前焼は古くから「投げても割れぬ」と言われ、中世の全盛期には日常使いのうつわとして人気を博しました。その丈夫さは現代でも変わりません。特別なときだけでなく、いつものご飯にどんどん使ってあげてください。陶器としては比較的薄くて軽いので扱いやすいのも魅力のひとつです。

炭酸にぴったり

備前焼は表面に細かい凹凸があります。これが炭酸と好相性。とくにビールのように、きれいな泡がおいしさを左右する飲み物にぴったりです。表面の凹凸がなかなか消えない細かい泡を立ててくれます。

毎日使える伝統工芸をお手元に

かまのそばでは、ライフスタイルに合わせた備前焼セットをおすすめしています。ひとりでも、ふたりでも、たまには大人数でも。備前焼を使うのが初めての方にもチャレンジしやすい定期配送便を、ぜひお試しください。

参考:変容する備前焼の「伝統」 -工芸品の「伝統」をどう捉えるか- | 明治大学学術成果リポジトリ